当社グループは、企業理念において「出会いからイノベーションを生み出す」というミッションの下、「ビジネスインフラになる」というビジョンを掲げています。このミッション、ビジョンの実現に向けて、人や企業との出会いをビジネスチャンスにつなげる、働き方を変えるAXサービスを展開しており、これらの事業活動の推進が社会課題の解決に寄与し、ひいては当社グループの株主価値及び企業価値の最大化につながるものと考えています。
2027年5月期から2029年5月期の中期財務方針として、売上高と調整後営業利益[1] の成長の両立を掲げています。最重要の経営指標である売上高については、当該期間の年平均成長率(CAGR)の方針を16%から20%としています。また、調整後営業利益については、各事業の売上高成長に向けた投資を行いながらも高成長を継続させ、2029年5月期における調整後営業利益率の方針は25%から30%としています。
中長期的な主要コストの見通しとして、売上原価率は「Bill One」の収益性改善により、低下していくことを見込んでいます。また、売上高S&M[2] 比率や売上高G&A[3] 比率は、過去のトレンドに沿って低下していくものと捉えており、長期的な調整後営業利益率は、40%以上の水準を見込みます。
[1] 営業利益+株式報酬関連費用+企業結合に伴い生じた費用(のれん償却額及び無形固定資産の償却費)
[2] Sales and Marketing(広告宣伝費や販売促進に関連する人件費、共通費用の合計値)
[3] General and Administrative(コーポレート部門の人件費や関連する共通費用等の合計値
当社グループでは、各事業毎に適切な業績評価指標を設定した上で、戦略を立案し実行しています。Sansan/Bill One事業では、「Sansan」「Bill One」それぞれの広大な潜在市場規模に鑑みて、売上高の最大化を最重要指標としながら、同時に調整後営業利益の成長スピードの向上に取り組んでいます。Eight事業では、より収益性を重視した事業運営を行っており、効率的に売上高を伸長させながら、着実に調整後営業利益を成長させていくことが重要であると捉えています。
また、優秀な人材の確保やセキュリティリスクへの対応、技術力の強化等については、全社で取り組むべき施策に位置付けているほか、競争優位性を軸とした新規サービスの創出や、キャッシュ創出力を背景としたM&Aの積極的な活用等によって、非連続な成長の実現にも取り組んでいます。
AI関連投資が世界的に拡大する中、AIを活用したグローバルでの業務改革市場は、2025年の約0.4兆ドルから2030年には約1.7兆ドルの規模に達する見通しとされています[4] 。日本国内においても、AIによる業務プロセスの効率化や高度化に向けた企業の需要が高まっており、AIシステム市場は2024年の1.3兆円から2029年には4.1兆円規模へ拡大すると予測されています[5] 。
また、当社グループのサービスが取り扱う名刺や請求書、契約書といった書類は、現在でも紙のままで日常的に利用されている機会が多く、業務効率化や有効活用の余地が大きく残されています。各サービスの潜在市場について、「Sansan」は法人向け名刺管理サービス市場においてNo.1の売上高シェア(85.8%)[6] を有していますが、日本国内の総労働人口を対象として捉えた場合、2026年5月期末における「Sansan」利用者数の割合は約5%[7] に留まっており、広大な開拓余地が残されていると考えています。次に、「Bill One」では、クラウド請求書受領サービス市場においてNo.1の売上高シェア(49.0%)[8] を獲得していますが、2026年5月期末における利用企業カバー率は、日本国内の企業の1%未満[7] に過ぎないため、広大な開拓余地が存在していると考えています。
[4] 「Artificial Intelligence (AI) In Digital Transformation Global Market Report 2026」(The Business Research Company)
[5] 国内AIシステム市場予測(IDC Japan調査)
[6] 「営業支援DXにおける名刺管理サービスの最新動向2026」(2026年1月シード・プランニング調査)
[7] 分母となる国内の総企業数及び従業者数は、総務省統計「令和3年経済センサス活動調査」を基に算出
[8] デロイトトーマツミック経済研究所「高成長が続くクラウド請求書受領サービス市場」(ミックITリポート2025年12月号)
当社グループの持続的な成長のためには、多岐にわたる経歴を持つ優秀な人材を採用し、営業体制や開発体制、管理体制等を整備していくことが重要であると捉えています。当社グループの企業理念や事業内容に共感した優秀な人材が、高い意欲を持って働ける環境や仕組みを構築しながら、人材の多様性確保を進めていきます。また、生成AIの急速な普及という環境変化を踏まえ、AIを前提とした組織開発を重要な経営戦略として位置付けており、AI活用と人材戦略を一体で推進しています。
当社グループは、提供サービスを通じて個人情報をはじめとした重要な情報資産を多く取り扱っているため、情報管理体制を継続的に強化していくことが重要であると考えています。現在においても、情報セキュリティ方針や個人情報保護方針等を策定した上で、情報資産を厳重に管理する等、情報保護については万全の注意を払っています。加えて、生成AIの急速な普及を踏まえ、社内AI利用ガイドラインを策定し全役職員へ周知することで、AI利用に伴う情報漏洩リスクや誤情報リスクへの対応を強化しています。今後も社内体制や管理方法の強化、整備を行っていきます。
アナログ情報を正確にデータ化する技術は、当社グループの競争力の源泉であり、さまざまなサービスの成長を支える共通基盤でもあることから、継続的な改善、強化が重要であると考えています。これまで独自で開発したさまざまな技術と、人の力を組み合わせることで高品質のデータ化を実現してきましたが、現在では独自に開発した生成AIを組み合わせることで、さらなる効率化に取り組んでいます。
当社グループでは、アナログ情報をデジタル化する技術を中心に、これまで既存サービスで培った強みや知見を他領域に展開することで、企業のAXを促進する新たなサービスを創出してきました。今後も、デジタル化による大きな効率化の余地が残されているビジネス領域において新たなサービスを創出し、提供の拡大を図っていきます。
グループ各社の企業価値向上に向けた施策を推進するとともに、当社グループが保有するリソースやノウハウを有効活用することで、シナジーの創出に取り組みます。また、M&Aの活用は重要な成長戦略の1つに位置付けており、今後も積極的な検討を進めます。