(1)会社の経営の基本方針

当社グループは、企業理念において「出会いからイノベーションを生み出す」というミッションの下、「ビジネスインフラになる」というビジョンを掲げています。このミッション、ビジョンの実現に向けて、さまざまなビジネス課題を抱える企業やビジネスパーソンの働き方を変え、DXを促進するサービスを展開しており、これらの事業活動の推進が株主価値及び企業価値の最大化につながるものと考えています。

(2)目標とする経営指標

連結売上高の成長を重視した経営を行っています。Sansan/Bill One事業においては、売上高の継続的かつ累積的な増加を実現するため、「Sansan」の契約件数や契約継続率(解約率)のほか、「Bill One」の有料契約件数やMRR(月次固定収入)等を重要指標としています。また、Eight事業においては、BtoBサービスの成長や、ユーザーネットワークの構築・拡充を目的としたユーザー増加数等を重要指標として運営を行っています。

(3)中長期的な会社の経営戦略

①企業のDXを促進するBtoBサービス(マルチプロダクト)の展開

昨今の新型コロナウイルス感染症の拡大によるリモートワーク等の働き方の変化やDXへの意識改革、SaaSビジネスへの関心の高まり等によって、市場規模はさらに拡大が続いています。また、DX市場は2030年において3兆425億円(2019年比2兆2,513億円増)*1、国内SaaS市場は2024年には1兆1,178億円(2019年比5,162億円増)*2 の規模に達すると予想されています。
このような市場環境を背景に、当社グループでは名刺管理をはじめ、請求書や契約書、ビジネスイベント分野等で、さまざまなビジネス課題を解決し、企業やビジネスパーソンの働き方を変え、DXを促進するBtoBサービスを展開しており、マルチプロダクトとしての事業ポートフォリオを構成しています。今後、このマルチプロダクトが「ビジネスインフラ」として広く認識されるよう、自社開発や他社連携等を通じたサービスの強化・拡充に取り組みます。

 

*1. 「2020 デジタルトランスフォーメーション市場の将来展望」富士キメラ総研
*2.「ソフトウェアビジネス新市場 2020年版」 富士キメラ総研

 

②名刺の持つユニークな価値と市場機会

名刺は、ビジネスの出会いのシーンで交換される慣習が根強く、そこには、氏名や所属する会社、組織、役職、連絡先等のビジネスパーソンを表す正確な情報が記載されています。また、名刺交換の履歴情報自体にもユニークな価値があるほか、現在でも紙のままで日常的に利用されていてデジタル化が進んでおらず、業務効率化や有効活用の余地が大きく残されていると考えています。
当社が2007年の創業当時から手掛ける、法人向けクラウド名刺管理サービス「Sansan」は、自ら市場を創り上げてきたことで、法人向けクラウド名刺管理サービス市場で83.5%*3 のシェアを有しており、パイオニアとして市場をリードしています。また、2012年に開始した名刺アプリ「Eight」のユーザー拡大と合わせて、当社及び当社サービスのブランド認知度は高まっているものと考えています。
しかしながら、日本国内に存在する企業数や従業者数でみた場合には、「Sansan」のカバー率は未だ低水準です。例えば、国内における総従業者数に占める「Sansan」利用者数の割合は、約2%に留まっており、利用者数ベースでは潤沢な開拓余地が残されていると考えています*4。

 

*3.シード·プランニング「名刺管理サービスと営業サービス(SFA/CRM/オンライン名刺交換)の最新動
*4.2021年5月期末における「Sansan」合計ID数を分子とし、分母となる国内の総従業者数は、総務省統計「2016年経済センサス活動調査」を基に算出

 

③アナログ情報のデータ化精度99.9%を実現する仕組みとテクノロジー

名刺管理サービスにおける名刺データ化の精度は、サービスの本質的な品質・競争力に資するものであり、「Sansan」では99.9%の精度を、そして「Eight」でもそれに準ずる高い精度を有しており、事業共通の強みとなっています。当社グループのサービスでは、機械学習等によって日々進化するテクノロジーと、人力の組み合わせによって名刺のデータ化を行っており、創業以来、人力による名刺データ入力を中心に、膨大な名刺をデータ化してきたことで、現在では、大量の名刺を正確かつ効率的にデータ化する独自システムの開発・運営が可能となりました。この技術力と独自の仕組みが競争力の源泉であり、継続的なサービス品質・競争力の向上に向けて、新技術の開発やオペレーションの改善を追求しています。また、これらの仕組みやテクノロジーは、さまざまな領域で活用が可能であるという特徴を有しています。

 

④高い安定性を誇る財務・収益モデル

当社グループの「Sansan」の課金モデルは、継続収入が見込めるサブスクリプションモデル(月額課金)が中心であることから、安定的かつ継続的な事業進捗が見込める収益モデルです。また、サービスの月次解約率は直近12か月平均で1.0%以下に留まっており、契約当たり売上高の拡大に努めることで、顧客LTV(ライフタイムバリュー)の最大化を推進しやすい魅力的なモデルであると捉えています。

 

具体的な当社グループの経営戦略は、以下の通りです。

 

 

(ⅰ)Sansan/Bill One事業のさらなる成長
「Sansan」は、コロナ禍において一定の制約を受けたものの、マーケティング活動から新規受注までの一連の業務プロセスが確立しており、安定的な成長が続いています。今後のさらなる成長に向けては、引き続き「オンライン名刺」やデータ活用を促進するオプション機能等、コロナ禍における新しい働き方に対応し、企業のDXを促進する機能の普及・拡大を図ることで、「Sansan」のビジネスプラットフォームとしての価値向上を推進していきます。加えて、営業体制の強化による契約件数の拡大や、ユーザー企業の全社員によるサービス利用(全社利用)を前提とした新規顧客獲得や既存顧客の利用拡大の促進等についても継続的に取り組むことで、契約当たり売上高のさらなる拡大を図ります。

また、「Bill One」は、あらゆる請求書をオンラインで受領可能にするというユニークなモデルが受け入れられ、2020年5月にサービスを開始して以降、高成長が継続しています。業種や規模を問わず、国内の全企業を対象とすることができるサービスであるため、大きな開拓余地が存在しており、「Bill One」のさらなる普及拡大に向けてさまざまな施策を積極的に実施していきます。具体的には、売上高の最大化に向け、組織改編によって機動的かつ柔軟なリソース配分が可能となった事業運営体制を背景に、営業活動やテレビCMを中心とした広告宣伝活動・マーケティング活動等を強化していきます。

 

(ⅱ)Eight事業のマネタイズ(収益化)
事業全体でのマネタイズを加速すべく、採用関連サービス「Eight Career Design」や広告サービス「Eight Marketing Solutions」等の「Eight」のネットワークを活用した各種BtoBサービスの展開を強化していきます。また、「オンライン名刺」機能やビジネスイベントメディア「Eight ONAIR」の利便性を向上させることで、ユーザー数のさらなる拡大を目指します。

 

(ⅲ)新たなサービスの創出
企業の各種業務フローにおいては、効率性に関するさまざまな課題が山積しており、当社グループは、これまで既存サービスで培った強みや知見を活かして、企業のDXを促進する新規サービスの創出に注力しています。具体的には、契約書やビジネスイベント・セミナーの領域でサービス提供を開始しており、これらの業務プロセスの確立や安定的な提供拡大を図っていくほか、新たなサービスの創出に向けた取り組みも推進していきます。

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当社グループの対処すべき主な課題は以下の通りです。

①優秀な人材の採用・育成と多様性の確保

当社グループの持続的な成長のためには、多岐にわたる経歴を持つ優秀な人材を多数採用し、営業体制や開発体制、管理体制等を整備していくことが重要であると捉えています。当社グループの企業理念や事業内容に共感した優秀な人材が、高い意欲を持って働ける環境や仕組みの構築を進めるとともに、人材の多様性確保にも取り組んでいきます。

 

②セキュリティリスクに対する管理体制の継続的な強化

当社グループは個人情報等の重要な情報資産を多く扱っており、情報管理体制を継続的に強化していくことが重要であると考えています。現在においても個人情報保護方針及び情報セキュリティ方針を策定した上で、情報資産を厳重に管理する等、個人情報保護に係る施策には万全の注意を払っていますが、今後も社内体制や管理方法の強化・整備を行っていきます。

 

③技術力の強化

アナログ情報を正確にデジタル化する技術は、当社グループの競争力の源泉であり、当社グループが手掛けるさまざまなサービスの成長を支える共通基盤でもあることから、継続的な改善、強化が重要であると考えています。優秀な技術者の採用や先端技術への投資・モニタリング等を通じて、国内を代表する技術者集団になるべく、技術力の向上に取り組んでいきます。