(1)会社の経営の基本方針

当社グループは、企業理念において「出会いからイノベーションを生み出す」というミッションの下、「ビジネスインフラになる」というビジョンを掲げています。このミッション、ビジョンの実現に向けて、さまざまなビジネス課題を抱える企業やビジネスパーソンの働き方を変え、DXを促進するサービスを展開しており、これらの事業活動の推進が社会課題の解決に寄与し、ひいては株主価値及び企業価値の最大化につながるものと考えています。

(2)中期財務方針

当社グループでは、2023年5月期の期初において、2023年5月期から2025年5月期にかけて売上高成長と調整後営業利益[1] 成長の両立を目指す中期財務方針を公表していましたが、これまでの堅調な業績進捗を踏まえ、2025年5月期の期初において、新たな3か年の方針を掲げました。 
新たな中期財務方針の下、2025年5月期から2027年5月期にかけては、堅調な売上高成長の継続と調整後営業利益の成長加速を目指します。具体的には、最も重要な経営指標である売上高については、3年CAGR(年平均成長率)22%から27%を見込みます。また、調整後営業利益は、売上高成長のために必要な投資を行った上でも成長を加速させ、2027年5月期における調整後営業利益率として18%から23%を目指します。
中長期的な主要コストの見通しとして、売上原価率は「Bill One」の収益性改善により、低下していくことを見込んでいます。また、売上高S&M[2] 比率や売上高G&A[3] 比率は、過去のトレンドに沿って低下していくものと捉えており、長期的な調整後営業利益率は、少なくとも30%以上が達成できるものと考えています

 

[1] 営業利益+株式報酬関連費用+企業結合に伴い生じた費用(のれん償却額及び無形固定資産の償却費)
[2] Sales and Marketing(広告宣伝費や販売促進に関連する人件費、共通費用の合計値)
[3] General and Administrative(コーポレート部門の人件費や関連する共通費用等の合計値

(3)中長期的な経営戦略

当社グループでは、各事業毎に適切な業績評価指標を設定した上で、戦略を立案し実行しています。Sansan/Bill One事業では、「Sansan」「Bill One」それぞれの広大な潜在市場規模に鑑みて、売上高の最大化を最重要指標としながら、同時に調整後営業利益の成長スピードの向上に取り組んでいます。Eight事業では、より収益性を重視した事業運営を行っており、効率的に売上高を伸長させながら、着実に調整後営業利益を成長させていくことが重要であると捉えています。

また、優秀な人材の確保やセキュリティリスクへの対応、技術力の強化等については、全社で取り組むべき施策に位置付けているほか、競争優位性を軸とした新規サービスの創出や、キャッシュ創出力を背景としたM&Aの積極的な活用等によって、非連続な成長の実現にも取り組んでいます。

①広大な潜在市場へのアクセス

DXへの意識改革や働き方の変化、SaaSビジネスへの関心の高まり等によって、当社サービスに関連するDX市場は拡大が続いています。DX市場は、2030年度に8兆350億円(2023年度見込比4兆153億円増)[4] 、国内SaaS市場は、2027年度に2兆990億円(2023年度見込比6,862億円増)[5] の規模に達すると予想されています。
当社グループのサービスが取り扱う名刺や請求書といった書類は、現在でも紙のままで利用されている機会が多く、業務効率化の余地が大きく残されています。各サービスの潜在市場規模を推測すると、まず「Sansan」は、日本国内の総労働人口を対象として捉えた場合、2024年5月末時点での利用者数の割合は約4%に留まっており、広大な開拓余地が残されていると考えています。次に「Bill One」では、2024年5月末時点で2,816件の有料契約を有していますが、日本国内に存在する約200万社が対象となるサービスであることを考えると、そのカバー率は極めて僅少であり、広大な開拓余地が存在していると捉えています。


[4] 「2024 デジタルトランスフォーメーション市場の将来展望 市場編/企業編」富士キメラ総研
[5] 「ソフトウェアビジネス新市場 2023年版」富士キメラ総研

 

②優秀な人材の採用・育成と多様性の確保

当社グループの持続的な成長のためには、多岐にわたる経歴を持つ優秀な人材を多数採用し、営業体制や開発体制を整備していくことが重要であると捉えています。当社グループの企業理念や事業内容に共感した優秀な人材が、高い意欲を持って働ける環境や仕組みを構築しながら、人材の多様性確保を進めていきます。

③セキュリティリスクへの対応

当社グループは、提供サービスを通じて個人情報をはじめとした重要な情報資産を多く取り扱っているため、情報管理体制を継続的に強化していくことが重要であると考えています。現在においても、情報セキュリティ方針や個人情報保護方針等を策定した上で、情報資産を厳重に管理する等、情報保護については万全の注意を払っていますが、今後も社内体制や管理方法の強化・整備を行っていきます。

④技術力の強化

アナログ情報を正確にデジタル化する技術は、当社グループが保有する大きな競争優位性であり、当社グループが手掛けるさまざまなサービスの成長を支える共通基盤でもあることから、継続的な改善、強化が重要であると考えています。国内外の優秀な技術者の採用や先端技術への投資・モニタリング等を通じて、技術力のさらなる向上に取り組みます。

⑤新規サービスの創出

当社グループでは、アナログ情報をデジタル化する技術を中心に、これまで既存サービスで培った強みや知見を他領域に展開することで、企業のDXを促進する新たなサービスを創出してきました。今後も、デジタル化による大きな効率化の余地が残されているビジネス領域において新たなサービスを創出し、提供の拡大を図っていきます。

⑥M&Aの活用

当社が保有する経営リソースや事業運営ノウハウを有効活用することで、グループ各社の企業価値向上につながる施策を推進し、シナジーの創出に取り組みます。また、主要サービスの成長に必要な投資を実行しながらも、既に安定した営業キャッシュフローやフリーキャッシュフローを創出できていることから、今後のさらなる成長に向けてM&Aの活用を重要な成長戦略の1つに位置付けており、積極的な検討を進めていきます。