
2025年5月期は、売上高が前年同期比27.5%増の432億円、調整後営業利益が同108.0%増の35億円となり、調整後営業利益率は過去最高の8.2%を記録しました。
過去から継続してきたプロダクト強化や営業体制の拡充が奏功し、各サービスとも順調に進捗しました。「Sansan」売上高は前年同期比16.9%増と堅調な成長を継続し、「Bill One」売上高は同58.7%増と高成長を維持しました。また、Eight事業は収益性を意識した運営の下で大幅な増収を実現したことから、通期での黒字化を達成しました。
これらの成果は、2025年5月期を初年度とする中期財務方針の順調なスタートを示すものです。同方針では「堅調な売上高成長の継続」と「調整後営業利益の成長加速」を掲げ、2025年5月期〜2027年5月期の売上高の年平均成長率(CAGR)22%〜27%、2027年5月期の調整後営業利益率18%〜23%を目標としています。初年度は計画通りに進捗し、2年目となる2026年5月期においても、売上高成長率22.0%~25.0%、調整後営業利益成長率92.7%~143.0%を見込む等、成長軌道を維持できる見通しです。
こうした成長をさらに後押しするのが、世界的に進化を続ける生成AIです。生成AIは非連続とも言える速さで発展し、わずか1年で私たちの習慣や働き方を変えるほどの影響を与えています。当社にとっても、これは単なる効率化の手段ではなく、新たな価値創出の大きな事業機会と捉えています。
多くの企業が生成AIを導入する中で必ず直面するのが、「何を学習させ、何を推論させるか」、すなわち、AIに与えるデータの質と量という課題です。企業内には商談メモや契約書、請求書といった価値の高い情報が多く存在しますが、その多くはアナログや非構造のまま分散しており、AI活用の妨げとなっています。
当社は創業以来、こうした構造化が難しい情報を正確にデータ化し、ユーザーが日々の業務の中で自然に蓄積できる仕組みを構築してきました。つまり、企業のAI投資と掛け合わせることができる、極めて稀有な基盤を保有していることになります。例えば「Sansan」では、企業情報・人物情報・活動情報に関する膨大なデータベースを18年以上にわたり構築しており、これらのデータは生成AIと接続することで高い実用性を発揮します。今後は、企業が自社の生成AIと当社サービスを「必ずつなぎたい」と思える状態を目指し、ニーズ主導型とプロダクトアウト型の両アプローチを組み合わせて価値を提供していきます。そして、AI投資の拡大と当社サービス利用の重なりを増やすことで、新たな収益源へと転換していきます。
AIの進化によって当社サービスの重要度はより一段と高まっています。この好機を確実に捉えるべく、成長の手を打ち続けてまいりますので、ステークホルダーの皆さまには、引き続き変わらぬご支援を賜りますよう、心よりお願い申し上げます。
2025年9月
代表取締役社長/CEO/CPO 寺田 親弘