2024年5月期は売上高、調整後営業利益ともに好調な実績となりました。当社が最重要視する売上高は前年同期比32.8%増となって前期から成長率が加速し、また、調整後営業利益は、売上高成長率を大きく上回る前年同期比81.5%増となり、売上高と利益成長の両立を果たすことができました。
この背景として、まず「Sansan」では、過去より行ってきたプロダクト強化を継続しながら、人材採用を進めることで営業体制の拡充を図りました。この2年間を振り返ると、「Sansan」の営業生産性は約13%改善し、契約件数も直近では力強い伸びとなっています。「Bill One」では、インボイス制度の開始に伴い、その前後で大きな環境変化を経験しましたが、「月次決算を加速する」経理DXサービスとしての本質的な価値をしっかりと訴求することで、期初の目標を上回る成長を実現しました。また、「Eight」においては、収益性に焦点を当てた事業運営に移行した上で、BtoBサービス、BtoCサービスともに堅調に伸ばすことができた結果、サービス開始以来、初めて通期での黒字を計上しました。
この力強い事業進捗を受け、2027年5月期までの新たな中期財務方針を公表しました。当社はこれまで「売上高成長と調整後営業利益成長の両立を目指す」としていましたが、これからの3年間は「堅調な売上高成長の継続と調整後営業利益の成長加速」を目指します。具体的には、2025年5月期から2027年5月期までの3年間の売上高CAGR(年平均成長率)22%~27%、2027年5月期の調整後営業利益率18%~23%を見込んでいます。
この中期的な見通しに関しては、個々の事業を積み上げた結果としての数値ではなく、当社グループの経営リソースを、その都度、最も生産性の高いサービスに振り向けていくことで達成できるものとして捉えています。コロナ禍で行った生産性向上のための営業リソースの最適化や、前期取り組んだ売上高の最大化等、機動的な経営判断を行ってきたことも大きな経験値となりました。したがって、2027年5月期の見通しについては、私たちがこれまで行ってきた営みが継続できる限りにおいては、上振れにも挑戦できるものと考えています。
そのためにも、まずは、2025年5月期における実績の創出にしっかりと取り組んでいきます。「Sansan」での新規ソリューションの開発や、「Model 4」と呼んでいる「Bill One」での新機能の開発・販売強化等を通じて、さらなるイノベーションの創出に向き合います。また、中長期を見据えた時には、次なる成長ドライバーをどのように作っていくのか、「Sansan」「Bill One」に続く第3の事業の柱をどう育成していくのかも非常に重要です。グループ会社を含めて、既に複数の新規サービスがありますが、これらを成長軌道に乗せていくための施策に向き合っていく必要があります。
当社の矜持は、「イノベーション」を生み出すこと、私たちにしかできない付加価値を社会に提案し、それをビジネスに変えてきていることです。イノベーションを生み出すのはサービスであり、その1つひとつの価値を積み上げてきた結果が、足元の事業成長の再加速につながっているものと捉えています。私たちは、今この瞬間にも、各サービスで新しいアングルのソリューションが作れないか、新たな課題を解決できるソリューションが生み出せないか、1つひとつイノベーティブな挑戦を続けています。ステークホルダーの皆さまには、引き続きご支援いただけますようお願い申し上げます。
2024年9月
代表取締役社長/CEO/CPO 寺田 親弘