2025年5月期は、全体として堅調な1年となりました。売上高は前年同期比27.5%増、調整後営業利益は同108.0%増と大幅な増益を実現し、調整後営業利益率も過去最高の8.2%を記録しました。また、フリーキャッシュフローは69億円となり、フリーキャッシュフローマージンは16.1%と健全な水準を維持し、手元現金も約300億円に達しました。

 

事業別には、「Sansan」の売上高は営業体制を強化した効果等により、ストック売上高の成長率が加速し、前年同期比16.9%増と堅調に推移しました。直近12か月平均の月次解約率は0.49%と、引き続き1%未満の低水準を維持しています。「Bill One」はガイダンスをやや下回ったものの、売上高は前年同期比58.7%増と高成長を継続し、解約率は0.33%と極めて低い水準を維持しました。Eight事業は価格改定等の複数の要因が寄与し、売上高は前年同期比42.4%増とガイダンスを上回る成長を遂げ、通期での黒字化を達成する等、高成長と収益性の改善を同時に実現しました。

 

当社は2024年に、2027年5月期までの3年間の売上高年平均成長率(CAGR)22%〜27%、調整後営業利益率18%〜23%を目標とする「中期財務方針」を公表し、長期的には調整後営業利益率30%以上を目指すことも示しました。初年度となる2025年5月期は、この方針に照らしても順調な実績を残すことができました。2026年5月期についても、売上高は前年同期比22%〜25%増、調整後営業利益率は13%〜16%と、中期財務方針に照らして問題のない水準を見込んでいます。

 

また、2025年5月期通期決算において、東証のガイダンス「資本コストと株価を意識した経営」に沿って、現状の考え方や取り組みを整理し、公表しました。現時点では定量的な指標を示す段階には至っていませんが、資本市場との建設的な関係構築を重視し、企業価値向上に取り組む姿勢を明確化しました。

 

資本コストについては、現在の事業構造や財務状況を踏まえると一定の低い水準にあると認識しています。その上で、さらに低減を目指すには、業績ガイダンスと実績の乖離を最小限に抑えることが重要だと考えています。過去5年間を振り返ると、社内売上計画と実績が1%以上外れたケースは1度のみであり、精緻な計画策定と着実な執行力が根付いていると自負しています。

 

資本効率の観点では、自己資本比率31.2%と健全な水準を維持し、上場以来エクイティファイナンスを行わず内部資金で成長を続けてきました。フリーキャッシュフローマージンも長期的に調整後営業利益率を上回っており、収益性と効率性の両面から健全性を裏付けています。資本配分については、成長投資と株主還元のバランスを重視しながら、現在は事業拡大フェーズにあることから成長投資を優先しています。

 

その上で、2025年5月期から開始した株主還元の内容についても、継続的に検討を進めており、施策の優先順位については、まず自社株買い、次いで配当と位置付けています。自社株買いは、必要に応じて機動的に実施していく方針に変わりはありません。配当については、会社法上の当社の分配可能額が現状は大きな金額ではないため、定量的な方針を示すことは困難ですが、フリーキャッシュフローの拡大を前提に、中期的には方針を明確化していきたいと考えています。

 

投資家との対話件数は年々増加しており、中期財務方針の公表以降は対話の質も一段と高まりました。当社固有の強みである低い解約率や安定したキャッシュフロー創出力について丁寧に説明し、理解を広げることを重視しています。今後も、成長・収益性・健全性のバランスを維持しながら、持続的に企業価値を高め、資本市場との信頼関係を一層強化してまいります。

 

2025年9月
取締役/執行役員/CFO​ 橋本宗之

 

 

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